「最近、ズボンがきつくなった気がする」「体が重くて疲れやすい」——そんなふうに感じたことはありませんか?
運動不足はもちろん、通勤がなくなったことで歩く機会が激減し、座りっぱなしの生活が続くと、体は知らないうちに変化していきます。
特に目立ちやすいのは、お腹まわりや下半身、そして背中や二の腕。
こうした変化は、いわゆる「在宅ワーク太り」の典型的なサインです。
この記事では、その原因と対策を、わかりやすく・専門的に・実践しやすく紹介していきます。
在宅ワーク太りの原因|3つの要素が複雑に絡む

在宅ワーク太りは、体重の増加だけではなく、体型の変化として現れやすい傾向があります。
とくに「お尻・太もも」「お腹まわり」「背中・二の腕」といった部位に集中しやすく、見た目の印象を大きく変えてしまいます。
しかしこの変化は、単に運動不足によるものではなく、筋力低下・血流悪化・生活リズムの乱れといった複数の要因が複雑に絡み合って起きています。
筋力低下が招く下半身の変化|お尻や太ももが「使われなくなる」危機
在宅ワークになると、まず激減するのが「歩く時間」です。
通勤や外出がなくなり、1日の歩数が数千歩単位で減ったという人も少なくありません。歩く機会が減ると、下半身の大きな筋肉(特にお尻や太もも)を使う頻度も減少します。
これらの筋肉は基礎代謝を大きく左右する部位です。
使われない時間が長くなるほど筋力が低下し、エネルギー消費も減ってしまうため、脂肪がつきやすい状態になります。
また、座っている間は骨盤が後傾しやすく、正しい姿勢が保てないことで、お尻のたるみや太ももの外張りにもつながります。
「お尻が平たくなった」「太ももが張ってきた」と感じたら、すでに在宅ワーク太りが進行しているサインかもしれません。
お腹まわりの脂肪増加|腹筋を使わない生活がポッコリお腹を生む
長時間座って作業をしていると、腹筋やインナーマッスルをほとんど使わなくなります。
これらの筋肉は、立っているときや歩いているときには無意識に働いていますが、座っているとその役割がほとんどゼロになるのです。
すると内臓を支える力が弱まり、重力に逆らえなくなった内臓が前方に押し出され、「ぽっこりお腹」が形成されてしまいます。
そして在宅ワークの環境では間食の誘惑が増え、つい食べ過ぎてしまう人が多いです。加えて運動不足が重なることで、余分なカロリーが消費されずに内臓脂肪として蓄積されやすくなります。
「ズボンのウエストがきつい」「お腹だけ出てきた」と感じたら、それは腹筋の衰えと食生活の変化によるもの。

単にダイエットをするだけではなく、姿勢の見直しや腹筋の再活性化もセットで取り組む必要があります。
背中と二の腕のたるみ|猫背姿勢が筋肉を「休ませ続けてしまう」
ノートPCをのぞき込むような姿勢や、スマホを見下ろす姿勢が続くと、背中が丸まり猫背になります。
すると肩甲骨まわりの筋肉が動かなくなり、代謝も筋力も低下。さらに、背中や二の腕といった「目の届きにくい部分」に脂肪がたまりやすくなります。
また、背中の筋肉が使われないことで血流も悪くなり、肩こりや冷えの原因にもなります。
こうした筋肉の「サボり癖」を防ぐには、意識的に肩甲骨を動かすエクササイズや、背中を伸ばすストレッチを習慣づけることがカギ。
姿勢改善と代謝アップの両面からアプローチすることが、背中・二の腕のたるみ予防につながります。
関連記事:デスクワークで崩れた姿勢を改善!座ったままOKの簡単ストレッチ7選
在宅ワーク太り解消のカギは「全身を動かすバランス型トレーニング」

在宅ワーク太りを本気で解消したいなら、特定の部位だけにアプローチするのではなく、全身の筋肉をバランスよく動かすことが重要です。
特に代謝を上げやすいお尻・太もも・背中といった大きな筋肉を中心に鍛えることで、脂肪が燃えやすい体づくりが可能になります。
姿勢の崩れや筋肉のこわばりといった問題にもつながるため、体幹トレーニングやストレッチを組み合わせて、全体的に整えるアプローチが理想です。
まずは股関節の前側をストレッチするのがおすすめ。
血流や骨盤の動きの改善にもつながるため、お尻や太ももを同時に鍛えることができ、骨盤の後傾やポッコリお腹の予防にも効果的です。
さらに、長時間の座り姿勢で硬くなりやすい背中や体幹もしっかりと鍛えておきたい部位です。
広背筋や僧帽筋を刺激することで、猫背や肩こりの改善が期待できます。
在宅ワーク太りは、動かないことが引き金になっているケースがほとんどです。

「下半身×体幹×背中」をバランスよく鍛えることで、見た目の変化だけでなく、疲れにくくリズムの整った毎日も手に入れられるでしょう。
関連記事:自宅で始める筋トレ!初心者から上級者まで効果を実感する方法
ブルガリアンスクワットは在宅ワーク太りに効く筋トレ

在宅ワーク太りに悩んでいる人にこそ取り入れてほしいのが「ブルガリアンスクワット」です。
通常は脚やお尻を鍛える筋トレとして知られていますが、やり方を少し工夫するだけで、在宅ワーク特有の問題である股関節の硬さや骨盤の後傾、代謝の低下にも効果を発揮します。
股関節を伸ばしながら鍛えられるのが最大の魅力
在宅ワークで硬くなりやすいのが、股関節の前側(腸腰筋まわり)です。イスに座っていると、股関節は常に曲がった状態になり、筋肉が縮んで血流も悪くなります。
これが続くと骨盤が後傾し、お腹がポッコリと出やすくなる原因にもなります。
ブルガリアンスクワットをすこし工夫して行うだけで、筋トレとストレッチの両方の効果を得ることが可能です。硬くなった股関節をリセットしながら、太もも・お尻をしっかり刺激できます。
代謝を上げるためには、大きな筋肉を使うことがポイントです。
ブルガリアンスクワットなら、下半身の中でも特にエネルギー消費が大きい部位を同時に鍛えられるため、脂肪が燃えやすい体づくりにもつながります。
在宅ワーク太りに効くブルガリアンスクワットのやり方
通常のブルガリアンスクワットも腰痛に非常に効果的なので、正しいやり方を知りたい方は以下の記事がおすすめです。
関連記事:腰痛予防の常識を覆す!改善しない理由と裏技ストレッチ


- 後ろ足を椅子の上に乗せて立ちます。前足は通常より足一つ分ほど広めに出して、骨盤が立てやすい姿勢をつくりましょう。
- つま先はやや外側に向けて、かかとで地面を踏みしめる感覚を意識します。
- 背筋をまっすぐに保ち、骨盤を立てたまま、ゆっくりと腰を下ろしていきます。
- このとき、前傾しすぎたり腰を反らないように注意。お尻をやや後ろに引くような感覚で動かします。
- 下ろしたときに後ろ脚の股関節前面がしっかり伸びているのを感じられたらOKです。
- そのままかかとで床を押して元の姿勢に戻ります。
- 左右それぞれ10回×2〜3セットを目安に。慣れてきたらダンベルやペットボトルを持って負荷を加えるのもおすすめです。
在宅ワークで縮こまった体を、ブルガリアンスクワットで大きく動かす。
これだけでも、体の巡りや代謝は見違えるほど変わっていきます。
本気で変わるための組み合わせメニュー
在宅ワーク太りの解消には、以下の3方向からのアプローチが有効です。
加えて、軽いストレッチや有酸素運動(例:散歩やラジオ体操など)を取り入れることで、血流が促進され、疲労物質の排出やむくみ対策にもなります。
一つのメニューだけで体を変えるのは難しいですが、得意な種目を“軸”に据えたうえで、他の筋肉にもバランスよく刺激を入れる。
これが、在宅ワーク太りを根本から解消する現実的かつ効果的な方法です。
関連記事:猫背を筋トレで根本から改善!姿勢美人を目指すための正しいアプローチ
筋トレを継続するコツ|在宅ワーカーが続けやすい工夫
在宅ワーク太りを本気で解消したいなら、筋トレを“継続”することが最も重要です。
ただ、在宅勤務の環境では、通勤もなく生活のオンオフが曖昧になりがち。筋トレを日常の一部にするためには、生活動線に“あえて”組み込む工夫が有効です。
たとえば、在宅ワークの前に5分のスクワット、昼休みに1セットの体幹トレーニング、終業後に軽いストレッチ。このように「タイミングを決めておく」と、やらない理由が減ります。
また、「やらない日があってもいい」と思えるゆるさも大切です。最初から完璧を求めず、続けることに価値を置きましょう。

1回1回は小さな積み重ねでも、3ヶ月後、半年後には確実に体は変わっていきます。
継続できる人は、トレーニングのハードさではなく、「やる仕組み」に強い人です。
自分なりの“ルール”を作り、在宅の生活リズムに筋トレを落とし込むことが、長く続けるための第一歩となります。
まとめ
在宅ワーク太りは座りっぱなしによる血流の低下、運動不足で衰える筋力、生活リズムの乱れ──。これらが複雑に絡み合って、体型や体調に変化をもたらしているのです。
ブルガリアンスクワットは、太ももやお尻、股関節を効率よく鍛えるメニューとして非常に優秀で、姿勢の改善や代謝アップにもつながります。
とはいえ、ブルガリアンだけで全てを解決するのは現実的ではありません。猫背や巻き肩、ぽっこりお腹に悩むなら、背中・体幹・有酸素運動など、バランスよく体を動かすアプローチが必要です。
1日10分でも、体を動かす習慣を積み重ねることで、数ヶ月後には大きな変化が見えてきます。
在宅ワークの合間に、椅子ひとつでできるトレーニングから始めてみませんか?あなたの身体は、きっとその変化に応えてくれます。