背中のトレーニングと聞くと、何から始めればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
なかでも「ワンハンドロウ」は、ダンベルひとつで広背筋や僧帽筋などをピンポイントに鍛えられる、非常に効率的な種目です。
ベンチを使えばフォームも安定しやすく、女性や筋トレ初心者でも無理なく取り入れやすいのが特徴です。
本記事では、ワンハンドロウの基本フォームや筋肉への効果、立ちスタイルとの違い、注意点などをわかりやすく解説していきます。
ワンハンドロウとは?取り組みやすい“片手引き”トレーニング
背中を引き締めたい、姿勢を良くしたい、そんな方におすすめなのが「ワンハンドロウ」です。
ワンハンドロウは、ダンベルを片手で引く動作を通じて、広背筋や僧帽筋などの背中の筋肉を重点的に鍛えるトレーニングです。
背中の筋肉は日常生活では使われにくいため、筋トレによって意識的に動かすことで、代謝アップや姿勢改善にもつながります。

ワンハンドロウはシンプルでありながら、背中を効率よく鍛えられる実践的なトレーニングなのです。
さらに高負荷を狙いたい場合は、バーベルを使った「ベントオーバーロウ」も効果的です。
関連記事;ベントオーバーロウの筋トレで背中を引き締める!正しいフォームと注意点を紹介
広背筋・僧帽筋を狙い撃ち!フォームが安定しやすく効きやすい
ワンハンドロウでは、主に「広背筋」と「僧帽筋」の2つの大きな背中の筋肉がメインターゲットとなります。
広背筋は背中の下部から脇の下にかけて広がる大きな筋肉で、発達させることで逆三角形のシルエットをつくることができます。
一方、僧帽筋は首の付け根から肩甲骨のあたりまでを覆う筋肉で、肩甲骨の安定や正しい姿勢の維持に欠かせません。
ワンハンドロウは、これらの筋肉に対してピンポイントで刺激を与えられるため、「効かせたい部位にしっかりと効かせる」という点で非常に効率的な筋トレです。
さらに、片手で行うことによって可動域が広くなり、左右差のバランスも整いやすいというメリットもあります。
フォームさえ正確にできれば、初心者でも安全に取り組むことができる実用的なトレーニングです。
ベンチとダンベルがあればOK|省スペースで取り組めるのが魅力
ワンハンドロウに必要な器具はとてもシンプル。基本的にはダンベル1つとフラットベンチがあればOKです。
バーベルや大型マシンが不要なため、自宅でも手軽に取り入れることができ、トレーニング初心者や女性にも始めやすい環境が整えられます。
また、ベンチに片手・片膝を乗せることで、体幹を安定させた姿勢をとれるため、フォームが崩れにくく、腰への負担も軽減されます。
省スペースでも効果的な背中トレが実現できるこのワンハンドロウは、ジムに通えない方や、自宅トレーニング派にとっても非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。
準備が少なくて済むからこそ、継続しやすく、習慣化にもつながります。
ダンベルには「固定式」「可変式」など種類があり、目的や使う頻度に応じて選び方が変わってきます。自分に合った重量やタイプのダンベルを選ぶことが、正しいトレーニングの第一歩です。
ワンハンドロウで鍛えられる筋肉(背中・腕)

ワンハンドロウは、背中を中心に複数の筋肉を同時に鍛えられる“引く系トレーニング”の代表格です。
対象となる筋肉は主に広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・三頭筋など。
とくに女性にとっては「後ろ姿の引き締め」「くびれの強調」「腕のたるみ対策」といった見た目への影響も大きく、美容・健康両面からの効果が期待できます。
広背筋|くびれが引き立つシャープな背中を目指すならココ
広背筋は、脇の下から腰にかけて斜めに広がる大きな筋肉です。この部位が鍛えられると、背中にV字ラインが現れ、ウエストが引き締まって見えるようになります。
つまり、背中の“逆三角形”をつくる主役ともいえる存在です。
とくに女性にとっては、広背筋を鍛えることでくびれが強調され、横から見たシルエットにメリハリが出ます。
男性であれば、たくましい背中を手に入れるための第一歩として欠かせません。
- 背中の引き締め:余分な脂肪を落とし、たるみを防ぐ
- くびれの強調:腰回りが細く見え、スタイルアップ
- 姿勢の安定:背面の筋力が強まり、猫背の予防に
僧帽筋|肩甲骨まわりの安定で姿勢と動きが洗練される
僧帽筋は首の付け根から背中の中央あたりまで広がる筋肉で、肩甲骨の動きに深く関わっています。
デスクワークなどで肩が前に丸まりやすい現代人にとって、この部位を鍛えることは非常に有効です。
ワンハンドロウではダンベルを引く動作によって、自然と肩甲骨を寄せる動きが繰り返されるため、僧帽筋への刺激がしっかり入ります。
とくに運動不足の方は、まずこの僧帽筋を動かす習慣をつけることで、肩・背中まわりの血流改善や身体の軽さを実感しやすくなります。

結果として、肩まわりが安定し、猫背の改善や肩こりの予防にもつながります。
関連記事:猫背を筋トレで根本から改善!姿勢美人を目指すための正しいアプローチ
上腕二頭筋・三頭筋|女性も注目、引き締まった腕のラインをつくる
ワンハンドロウは背中の種目として知られていますが、実は腕の筋肉にも同時にアプローチできます。
とくに働くのが、肘を曲げるときに使う「上腕二頭筋」と、肘を伸ばすときに使う「上腕三頭筋」です。
引く動作の中で、ダンベルを安定して支えるために二頭筋が働き、戻す動作で三頭筋にも刺激が入ります。
これによって、腕のライン全体が引き締まり、ノースリーブや半袖でも自信が持てるスッキリとした印象に。
女性にとっては「振り袖肉」と呼ばれる二の腕のたるみ解消に、男性にとっては力強い腕づくりに役立つ、まさに一石二鳥のトレーニングです。
ワンハンドロウの基本フォーム
ワンハンドロウは比較的シンプルな種目ですが、「片側だけで引く」という特性上、フォームの崩れや姿勢の偏りが起きやすい傾向があります。
正しいフォームで行うことで、筋肉への刺激を最大化し、ケガの予防にもつながります。
ここでは、ベンチを使った基本のセットアップから、動作中に意識すべきポイントまでを丁寧に解説していきます。
ベンチを使った正しいスタートポジション

まずはセットアップです。ベンチに片膝と同じ側の手をしっかりつき、安定した状態を作るのが基本です。
反対側の足は床につけて、上半身を床と平行になるように前傾させましょう。
このときのポイントは以下のとおりです。
- ベンチに置く手と膝の位置を揃える
- 床についた足は軽く開いてバランスをとる
- 背中は丸めず、まっすぐフラットな姿勢を意識する
首から腰までが一直線になるように整えることで、広背筋・僧帽筋への負荷がダイレクトに入りやすくなります。
ダンベルを引く方向と肘の動かし方|骨盤をめがけて引く
ワンハンドロウで重要なのは、ダンベルをどこに向かって引くかです。目標は「骨盤のあたり」。胸や肩ではなく、腰の横あたりを狙ってダンベルを引き上げましょう。
また、引くときは「腕で持ち上げる」のではなく、「肩甲骨から引く」感覚を持つのがコツです。
- 肘は体のすぐ横を通す
- 手首が前腕と一直線になるようにする
- ダンベルは“真上”ではなく“斜め後ろ”に引くイメージ
肩がすくんだり、肘が外側に広がるとフォームが崩れる原因になります。

鏡を使って確認するのもおすすめです。
セットアップから動作の流れ|意識すべきポイント


- フラットベンチに片手と同側の膝をつきます。もう片方の足はしっかり床につけ、背中が床と平行になるよう姿勢を整えます。
- ベンチについていない側の手でダンベルを握ります。手首をまっすぐに保ち、力まないようにしましょう。
- 軽く胸を張り、背すじをまっすぐキープします。体がねじれたり、腰が反りすぎたりしないよう注意します。
- 肘を体側に沿わせながら、ダンベルを骨盤のやや上あたりまで引き上げます。このとき肩甲骨をしっかり寄せる意識を持ちます。
- 引ききった位置で一瞬静止し、背中の筋肉が収縮していることを感じます。腕の力ではなく背中の筋力を意識しましょう。
- ダンベルをスタート位置までゆっくり下ろします。肩甲骨を少し開くようなイメージで、ストレッチをかけるようにすると効果的です。
- 10回3セットを無理なくこなせる重量から始めましょう。
応用編|立ったまま行うワンハンドロウ


- ダンベルを片手に持ち、反対の手はベンチや膝に添えて上体を支えます。体幹が不安定になりやすいため、支える手の位置が重要です。
- 足は肩幅程度に開き、ダンベルを持つ側の足を少し後ろに引いて安定させます。
- 半身を前傾させ、背中をまっすぐに保ちます。
- 肩甲骨を寄せる意識で、ダンベルを体に沿わせながら骨盤付近まで引き上げます腕ではなく、背中の筋肉(広背筋・僧帽筋)で引きます。
- ダンベルを引いた位置で一瞬キープし、ゆっくりと元の位置に戻します。
体が左右に傾かないよう、両足の位置でバランスをとりましょう。
反動を使わず、丁寧に動作をコントロールすることが安全かつ効果的です。
さらに背中全体をバランスよく鍛えたい方は、他の背中トレーニングとの組み合わせもおすすめです。
関連記事:自宅でできる背中の筋トレ!コツと注意点について解説
腰や背中を痛めないための注意点

ワンハンドロウは効果的な背中トレーニングですが、フォームを誤ると腰や肩に大きな負担がかかり、ケガにつながる恐れがあります。
とくに初心者は、効かせることばかりに意識が向いてしまい、基本的な姿勢を忘れがち。
ここでは安全にトレーニングを続けるためのポイントを2つ解説します。
背中を丸めない|体幹を安定させて姿勢をキープ
最も多いミスのひとつが、背中が丸くなったままダンベルを引いてしまうことです。
背中が丸まると腰への負担が増え、トレーニング効果も半減します。セットアップの時点で、背すじを伸ばし、首から腰までが一直線になるように整えるのが大切です。
体幹を安定させるには、軽く腹筋に力を入れて、腰が反りすぎないように調整するのがポイント。
意識的に「お腹と背中で姿勢を支える」ようにすると、フォームが安定し、腰痛の予防にもつながります。
肩甲骨を寄せて・開いて使う感覚を養おう
ワンハンドロウの主役である背中の筋肉は、「肩甲骨の動き」と密接に関係しています。
肩甲骨を寄せる動きで筋肉が収縮し、開く動きでストレッチされるため、この動作をしっかり意識することが効果的なトレーニングにつながります。
最初は動きに慣れないかもしれませんが、以下のようなイメージを持つと感覚がつかみやすくなります。
- ダンベルを引く=肩甲骨を背骨に寄せる
- ダンベルを戻す=肩甲骨を外側に開く
この“寄せて・開いて”のリズムを丁寧に繰り返すことで、広背筋や僧帽筋への刺激がより明確になり、筋肉の成長も促進されます。
まとめ
ワンハンドロウは、ダンベルとベンチがあれば気軽に始められる、背中引き締めに効果的な筋トレ種目です。
広背筋をはじめ、僧帽筋や腕の筋肉にもアプローチできるため、美しい姿勢やメリハリのある上半身づくりに役立ちます。
フォームを正しく習得すれば、自宅でも安全に行えるのも大きな魅力。
ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に、日々のトレーニングにワンハンドロウを取り入れてみてください。